紅蓮のネタ帳

技術系の話を中心とした雑多なブログ

クレジットカードのポイント還元額を試算した話

ご無沙汰しております。
年末進行でいろいろドタバタしている紅蓮です。

さて、本日はクレジットカードの話です。
今年、クレカの一般カードからゴールドカードへの切り替えで何度か迷ったことがあったので、その際に考えたことや計算した内容についてまとめました。

カード会社は一般カードと上位カードのどちらがお得か断言できない

クレカを持てる年齢になってもう10年以上経ち、カードも累計10社以上(すでに解約した会社も含む)で作りましたが、カード会社のWebサイトや店頭パンフレットを見ただけでは、一般カードと上位カードのどっちを作ったほうが良いのか明確に分かったことは一度もありません。

考えなしに上位カード作ると年会費で損する場合も普通にありますし、最近は自分の利用スタイルに合わせてポイント還元額を試算してから比較してから入会するほうが良いんじゃないか、と思うようになりました。

念のため、カード会社の名誉のために言っておくと、クレジットカードのパンフレットやWebサイトにふわっとした内容しか載ってないのは、決してイジワルで内容を絞っているわけではないと思います。*1
ユーザーの利用スタイルや年間利用額によって一般カードと上位カードのどちらがお得か異なってくるので、具体的にどちらがお得かは断言できないからでしょう。

選ぶ目安は年間のカード利用額

既にご存じの方も多いかと思いますが、クレジットカードの一般カードは年会費が無料もしくは安価で特典も平凡、上位カードは年会費は割高だが特典が豪華、といった特徴になっています。

冒頭でも書きましたが、上位カードの年会費は非常に大きなデメリットです。
中には年会費実質タダのゴールドカード(イオンカード、エポスカード等)もあったりしますが、大半のカードが1~2万円前後の年会費がかかるため、それを上回る特典やポイント還元がなければ契約する価値はありません。

特典の内容にもよりますが、一般的にカードの年間利用額が少なければ安い一般カード、年間利用額が多ければ特典やポイント還元のメリットが年会費を上回る上位カードがお得な傾向があります。

この「年間利用額が多いか少ないか」の分岐点を考えるのが今回の記事の本題です。

一般カードと上位カードの還元率が異なる場合、ポイント還元額の方程式を立てる

上位カードの特典はカード会社により多種多様ですが、一般的な上位カードの特典の一つとして「特定の商品・サービスの購入時のポイント還元率優遇」があります。
一般カード利用時よりも上位カードを使ったほうが多くのポイントがもらえる特典です。

そして、上位カードと一般カードでポイント還元率が異なる場合は、方程式を立てることでどちらのカードがお得になるかの年間利用額の分岐点を明確に計算することができます。

ビューカードのゴールドカードはお得なのか検証してみる

www.jreast.co.jp

ビューカードを例にして説明しましょう。
ビューカードはゴールドカード特典として、えきねっとの切符購入やモバイルSuicaのグリーン券購入が3%→8%に引き上がるにようになっています。

クレジットカードのポイント還元額は、

ポイント還元率 × 年間利用額 + 固定ボーナスポイント -  年会費

…で出すことができます。
2つのカードを比べる場合、右辺・左辺にそれぞれのポイント還元額を入れた方程式を作ることで、お得になる年間利用額を計算することができます。

ここで、ビューカードの一般カードのポイント還元額を左辺、ゴールドカードのポイント還元額を右辺にあてはめて方程式を立ててみましょう。*2

0.03 × 年間利用額 + 0 - 0 = 0.08 × 年間利用額 + 0 - 11,000

単純な一次方程式ですね。
年間利用額をMとして、解いてみましょう

0.03M + 0 - 0 = 0.08M +0 -11,000
0.03M - 0.08M = -11,000
-0.05M = -11,000
M = 220,000

解として出てくる数字が、一般カードとゴールドカードの還元額が同じになるポイント、要するにゴールドカードのほうがお得になる分岐点です。
えきねっとの切符購入やモバイルSuicaのグリーン券購入が年間22万円を上回るならゴールドカードがお得になりますが、えきねっとやグリーン券で年間22万円分も切符買うパターンは、新幹線・特急利用が中心の出張族か、よほどの旅好きでもない限りあり得ないでしょう。*3

前述しましたが、上位カードは基本的にヘビーユーザー向けです。
ビューカードの例のように、超ヘビーユーザーでないと年会費を払った分のメリットが出ない場合もよくあるので、入会や一般カードからの切り替えを考える際は電卓を叩いて考えたほうが良いでしょう。

なお、この評価はあくまでポイント率の違いと年会費の違いのみに着眼して出した評価です。
これ以外にもビューカードのゴールドカードにはビューゴールドラウンジの利用優待、年間利用額によるボーナスポイントといった特典もありますので、人を選ぶカードではありますが、カード総合力としては悪くない部類に入るとは思います。

一般カードと上位カードの還元率が同じ場合、年間利用額でポイントを試算する

ビューカードの例では還元率が違う場合を考えましたが、実は方程式で解く方法は万能ではありません。
還元率のパーセンテージが同じ場合はそもそも方程式が成り立たないので、具体的な数値を出す方法は「●●万円使った場合」の場合分けで考える必要があります。

一般カードと上位カードで通常還元率が同じで、上位カードのみ「年間●●万円利用でボーナスポイント×××P進呈」といった形でボーナスポイントをつけて優遇しているカードも割とあります。
そのパターンも考えてみましょう。

エポスカードのゴールドカードとプラチナカードを比較する

www.eposcard.co.jp

続いてはエポスカードのゴールドカード・プラチナカードの比較をしてみたいと思います。
なぜエポスかというと、ゴールドカードを現在持っており、プラチナへの切り替えをつい最近検討したからです。

エポスのゴールドカードは条件付きで年会費タダとなっており、条件はかなり簡単に達成できるため、ゴールドカードが事実上の標準といっても差し支えありません。*4
一応、一般カードもありますが、マルイの10%OFFセールの対象になる以外はボーナスポイント等もなく、還元内容も非常にしょっぱいため、ぶっちゃけると論ずるに値しません。

上記のサイトの年間ボーナスポイントの部分を見てもらえばわかると思いますが、エポスカードはゴールド・プラチナのどちらもポイント還元率は0.5%と同一で、プラチナカードはボーナスポイントを含めた特典の多さで差別化を図っています。
このように通常のポイント還元率が同じ場合、通常ポイント部分は比較する意味がない(いくら使っても通常ポイント付与額は同じ)ため、ボーナスポイントと年会費がどのくらいの金額かによってお得度が変わってきます。

ゴールドカードも一応上位カード扱いなのでボーナスポイントはつきますが、上限が100万円とかなり抑え目にになっており、上限がほぼないプラチナとは大きな違いとなります。

  • 【年間100万円利用の場合】
    ゴールド:ボーナスポイント10,000P - 年会費0円 = 10,000円
    プラチナ(一般入会):ボーナスポイント20,000P - 年会費30,000円 = -10,000円
    プラチナ(インビ入会):ボーナスポイント20,000P - 年会費20,000円 = 0円
  • 【年間200万円利用の場合】
    ゴールド:ボーナスポイント10,000P - 年会費0円 = 10,000円
    プラチナ(全会員):ボーナスポイント30,000P - 年会費20,000円 = 10,000円
  • 【年間300万円利用の場合】
    ゴールド:ボーナスポイント10,000P - 年会費0円 = 10,000円
    プラチナ(全会員):ボーナスポイント40,000P - 年会費20,000円 = 20,000円

ボーナスポイントの部分を見ると、年利用額100万円台の場合はプラチナカードの年会費で損をする形なっています。
年利用額200万円でようやくボーナスポイントの部分の実質還元額が一致し、300万円以上使う場合はプラチナカードのほうが還元額が増える形になります。

ゴールドとプラチナで還元額が同じになるのであれば、特典が多いプラチナカードを選んでも損はないでしょう。
エポスカードの場合、その分岐点が200万円ということになります。

ボーナスポイントを比較する場合、実質還元率まで計算しないと損する場合あり

ここまで説明しておいてアレですが、手のひらを返します。
前述の説明は罠です。

実質還元率が一番高いのはゴールドカードで100万円使った場合

エポスカードの基礎還元率の0.5%を見て、低いと思った方もいるでしょう。
間違いなく低いです。

ゴールドカードは100万円でボーナスが10,000P、基礎ポイントが0.5% × 1,000,000円 = 5,000Pで、この時の合計のポイントは15,000Pとなります。
これを利用額の100万円で割ると0.015と出ますが、要するにちょうど100万円使ったときに限り、還元率1.5%のハイスペックなカードに化けるわけです。

ボーナスポイントは100万円利用時が上限なので、それ以上使った分は基礎還元率の0.5%のポイントしか入らないようになっているため、要するに100万円を超えて使えば使うほど平凡な0.5%に近づくような性質を持っています。
罠ですね、これは。

なので、他社でサブカードを1枚持っておいて、エポスカードで年100万円を達成したらその年はエポスカードの利用をやめ、残りの月は他のカードで決済するのが一番賢い使い方になるとは思います。

一方、プラチナカードは100万円の時点でボーナスポイントの分が差し引き0かマイナスなので、もはや還元率を語るまでもないと思います。
念のためプラチナの実還元率を計算してみると、

  • 100万円 差し引き-10,000円か0円 還元率-1.0%もしくは0%
  • 200万円 差し引き+10,000円 還元率0.5%
  • 300万円 差し引き+25,000円 還元率約0.83%
  • 500万円 差し引き+55,000円 還元率1.1%

…うん、言うまでもなく悲惨な結果ですね。
200万円以下だと年会費のぶんむしろ損するので、ショボい還元の一般カードのほうがよっぽどマシといった判断になります。

【おわび】
プラチナカードの基礎ポイント分の還元額が計算結果から抜けていたので再計算しました。
はてなブログExcelから直接表を貼れるようになっていたので、そのまま貼っておきます。

年利用額 還元率 基礎ポイント ボーナスポイント 年会費 差し引き還元額 実質還元率 備考
1,000,000 0.5% 5,000 20,000 30,000 -5,000 -0.50% 通常入会
1,000,000 0.5% 5,000 20,000 20,000 5,000 0.50% インビ入会
2,000,000 0.5% 10,000 30,000 20,000 20,000 1.00%  
3,000,000 0.5% 15,000 40,000 20,000 35,000 1.17%  
5,000,000 0.5% 25,000 50,000 20,000 55,000 1.10%  

計算しなおしても100万円利用時は通常入会だとやっぱり赤字、インビ入会でも実質還元率0.5%と一般カードの還元と同じ水準になってしまいます。
これならちょうど100万円で1.5%の還元となるゴールドのほうが断然お得ですね。

200万円利用時にちょうど1%となり、300万円で1.17%と順調に上がっていきますが、300万円以降はボーナスポイントが200万円刻みで10,000P増える仕組みになるため、500万円使ったときの実質還元率は300万円のときの還元率より落ちてしまっています。

ゴールドカードも100万円以上使うと還元率が1.5%から漸減していく罠があるので、うまく使うにはこの辺の計算しないと逆に損しそうです。

プラチナカードの還元率が低いのにはワケがある

プラチナカードの実質還元率がそこまで高くない理由ですが、おそらく一番の原因は特典として「プライオリティパス」がついてくるからでしょう。
年間429USD(執筆時のレートで4.8万円くらい)かかる空港ラウンジ会員証がプラチナカードの年会費を払うだけでもらえるので、高い年会費を払ってもお釣りが来ると言えなくはないでしょう。

ただ、今の時期だとコロナの影響で渡航制限がかかっていて、プライオリティパスを十分に活用できない可能性もあるので、プライオリティパスの価値がホントに年会費のぶんだけあるかは十分に考えたほうがよいと思います。

*1:考えなしに上位カードを契約させて年会費を巻き上げようとするイジワルなカード会社も時々いるので注意。ド●モショップの店員がやたらとゴールドカード勧めてくるけど、冷静に試算すると超ヘビーユーザー以外にメリットほぼないし、今だったらサブキャリアの選択肢もあるので、ド●モのヘビーユーザーであること自体を見直したほうが良い。

*2:一般カードは年会費実質タダのビックカメラSuica、ゴールドカードは年会費11,000円ビューゴールドプラスを想定。

*3:東海道・山陽新幹線方面の出張が多い場合、会社がエクスプレスカードを準備していることも多いので、正直のところJR東管内かつ、空路よりも鉄路が便利なところ(長野、新潟、仙台、盛岡など)がメインの出張先でもない限り、出張族であってもメリットがあるパターンはごく少数だと思う。

*4:エポスのゴールドカードの年会費無料の条件は「年間利用額50万円以上」か「ゴールドカードのインビテーションをもらって切り替え」で、一度でも条件を満たせば翌年度以降の年会費が永年無料となる。1ヵ月あたり4.2万円使えば年間50万円は達成できるので、生活費の支払いをカードで行えば問題なく条件は満たせるはず。